日日のクラフト MIU 美卯 松本民芸家具・世界の民芸・雑貨
LINE Instagram Facebook Blog

ギャラリー&インテリア 美卯 〜つれづれに〜

伝統技術を引き継ぐために

[ 2018-02-24 17:24 ]

 尾張地方は寒さの底を漸く抜け出したようで日中はとても過ごしやすくなってきました、美卯オーナーです。

 最近時々耳にする話題として「2025年危機」というのがあります。
経済産業省によると団塊世代の大量引退時期が迫り日本の中小企業の3社に1社、127万社が2025年頃にはに廃業の可能性があるというもの。
雇用650万人、GDP22兆円が消失する可能性があるといいます。しかもそのうちの約半数が黒字企業とも、、、。

工芸の世界でも久しく後継者不足の問題が語られ、既にいくつかの伝統技術が失われていきました。
今回の経産省の問題提起でも特に歴史ある老舗企業、日本の工芸品を作り続けてきた伝統企業が多く含まれています。

技術者(職人)、中小企業どちらも血縁による継承が難しい時代。
ならばどうするか?ということで、企業ならM&A(合併・買収)など考えられ、またそこまで大がかりでなくとも第三者が継承出来るような仕組みづくりなど、国も今までは“創業”を後押しする政策でしたが、これからは今ある優良な事業所の事業継承に注力する方向になるとかー。

ですが、伝統工芸の世界を永年みてこられた方々ほどそれはなかなか容易でない事と思われるでしょう。
伝統、技術を伝えるには時間と手間がかかります我が子でも難しいのに他人では尚更、、、。
でも、若者のなかにはチャンスがあればそういった伝統工芸の世界に飛び込んでいきたいという方たちも少なからず存在するのも事実。

ならばそういった「第三者」が修行して、学ぶための経済的な後押しになる制度など、技術も継承できる仕組みづくりを今からでも整備して、モノづくりの先輩方が後継者を諦めないで未来に希望を繋げられるようになればと願います。



おこし(起)の暮らし

[ 2018-02-12 15:15 ]

 昨夜も吹雪いていた尾張一宮、幸いにして積もらなかったのでほっと一安心、日差しの中に微かに春を感じます、美卯オーナーです。

 2月9日に一宮市起地区にある昭和15年に建てられた旧田内織布邸にて「近代建築再生スクール・おこしの暮し」を聴講してきました。
講師はこの起で生まれ、永年地場産業である繊維の中核的企業、中外国島株式会社を経営されてきた伊藤正樹氏です。

 繊維産業について私の知識は小中の頃学校で教わったくらいで、“ガチャマン”という空前絶後の好景気があり、当時この地域の手形の決済量が東京、大阪に次ぐ3番目であり、在一宮の銀行支店の格付けも高かったということくらいです。おかげでバブルが崩壊する頃まで人口の割に全国規模の銀行支店が沢山ありました。

伊藤さんのお話はご自身で作られた「おこしの暮らし 年表」を元に進められました。
この年表が各時代の世界情勢、日本の世相、人口推移、尾州の繊維産業の推移、ご自身と会社の歴史などをわかり易く時系列で並べていてとてもわかり易く、おかげで講座の内容がとても素直に頭の中に入りました。
主催のセ・カ・イ建築チーム・栗本真壱さんも「今日の資料はお宝ものです、今日参加された方はとてもラッキーですよね」と語られるほど。

そして、やはり何よりその時代の渦中で生まれ、成長し、体験された御本人が語られるリアリティーは何物にも代えがたい迫力があります。
時は流れ多くの物は姿を替え、人も数々の変遷を経て今がある。幼馴染と遊んだ街の変化、それぞれの人生の歩み、そういった暮らしの断片が大きな歴史の流れとは無関係ではなく存在するのだという事が深く刺さります。

今回は学術や資料的ではない生活の中での繊維産業を中心とした街の在り様をリアル地元視点で愉しむことが出来ましたが、例えば起街道をかつて走っていた路面電車の引き込み線と車庫の跡が今は尾張三条にある西松屋になっているとか、「コラセン」といった言葉の意味など学問では語られない(語ることのできない?)、地元民同士でこそ楽しめる内容満載。もちろん、地元でなくとも繊維産業に興味がある方なら様々な切り口で興味深い内容でした。

余りにも楽しく面白い講座だったのでもっと多くの方々にも聴いて頂きたく、伊藤氏には是非是非またの登壇を僭越ながら期待しております。

立春・縁側にて

[ 2018-02-04 19:33 ]

 今日は立春、暦の上では春になりましたが、立春寒波到来だそうで、今夜も雪が降るかもしれない尾張地方です。

 そんな冬の日曜日、お仕事前にちょっと寄り道をして古民家を会場に開かれている現代美術展『尾州の起点』を観てきました。

会場のある一宮市起(おこし)地区は東海道と中山道を結ぶ美濃路の中にあって木曽川を渡河するための重要な宿場町でした。
今回の展覧会はその起地区のかつて繊維産業で栄えた歴史を伝える古民家に現代美術を展示するという野心的試みです。
古きものと新しきものを一緒にするのは場合によってはミスマッチな感じになるのですが、ここでは見事に融合して心地よい空間が演出されています。

そして現代美術に親しんだ後は、暖かい日差したっぷりの縁側に座ってのんびり火鉢でお餅を焼いて栗入りぜんざいをいただきました。
日本家屋でどこが一番気持ち良い空間化と言えばやっぱり縁側だと思います。庭を見ながらほっこり出来るので☺
今日はお天気が良かったので縁側から眺める空と庭の景色が一枚の絵の様でより美しい時間を堪能できました。

週末のみの開催で会期はあと10日11日12日と残り3日です。
詳しくは
https://www.facebook.com/events/195488414365064/



トップへ