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ギャラリー&インテリア 美卯 〜つれづれに〜

路線バスで行く「起街道プチ漫遊」

[ 2018-12-03 16:34 ]

ちょっとご無沙汰しておりました、美卯オーナーです。
実はまだ9月の倉敷フォーラムについてまだ書き切っていないのですが、
今日は先日地元FMコミュニティラジオ・iWAVEに出演して私が取材、
ご紹介させて頂いた路線バスを使ったわが街のプチ旅を再掲します。
ちょっとお出掛けのご参考に、また地域外の方には江戸時代東海道の要でも
あった起街道と起宿地区を知っていただく契機になればと思います。



こんばんは。この頃は朝晩冷え込んで街の風景も初冬の佇まいになってきましたね。ただ本格的に寒くなる前にもうちょっと街を楽しもうと今日は「路線バスで巡る起街道」というテーマでお話したいと思います。
今回取り上げるのは一宮駅バスセンターから駅の西側、八幡通りを経て起街道を走る名鉄バスの起線です。

ちょっと脱線ですが、昔この路線を電車が走っていたのはご存じですか?
実は私はちょっと・・・乗り鉄なので調べた所、この起街道には大正13年から、昭和28年に廃線になるまで単線の電車が通っていたそうです。今西松屋になっている所に車庫があったのですが、行ってみても往時の痕跡は見られずに鉄オタとしてはちょっと残念なのですが・・・。

さて話が脱線しましたが、本題に戻って、いよいよ起街道の面白い所を巡るバス旅始めたいと思います。
では、まずバスの旅を始める前に用意して頂きたいモノがあります。
それは名鉄バスの一日乗車券「一宮おでかけバス手形」!!!まずこれを購入して下さい。
何度も乗降りしてあちこち巡るのでこれは便利です。しかも断然お安くてお得。
ただ降車時間が決められていて平日は10時~16時、土日は終日OKです。市内のバス全てが乗り降り自由で、
料金は中学生以上600円、小学生300円です。一宮バスターミナルか車内でも購入出来るそうです。

このバス手形をゲットしたら一宮駅バスセンターから起行きに乗車、出発です。
ゆらゆらとバスに揺られて15分ほど、最初にご紹介する篭屋バス停留所に到着します。
ここの見どころは、のこぎり二という旧平松毛織物株式会社の織物工場であった5棟連なった大きなノコギリ屋根工場です。

一宮あたりでは喫茶店以上に良く見かけるのこぎりやね工場ですが、数でいったら日本一だという事が近年わかってきました。以前一番と豪語していた群馬県の桐生市よりもはるかに多い事が判明したんですが、余りにも多くていろんな団体が調べてはいるのですが未だに正確な数は判らないそうです。(推計2500棟、桐生の10倍?)しかも老朽化で最近どんどん取り壊しが進んで少なくなってきています。

ノコギリ屋根工場の現状はこういった所ですが、今回訪ねたのこぎり二では使われなくなった工場にもう一度光を当てその歴史と意義を考えようとワークショップを行う一方、その利活用として現在、アート作品の展示場や演奏会の開かれるホールとアトリエとして作品の製作現場として公開されています。また最近ではションヘル織機が3台保管されるなど、かつての織物工場だったアイデンティティを大切にしつつ、元気な地域づくりに活用されています。また敷地内にはノコギリ屋根倉庫をおしゃれに改装したユタカフェがあってランチや手作りのお菓子が評判になっているんですよ。

そこでビッグニュース!
こうした活動が評価されて、この度ここ「のこぎり二」さんが国際なかなか遺産委員会から「なかなか遺産」として認定されることになり、その認定式典がのこ二で開催されることになりました。今日は国際なかなか遺産委員会についての説明は時間の関係上割愛させて頂きますが、
式典日時は12月15日(土)13時~15時 認証式とその意義について、東大の先生から講演があり、その後ノコギリ屋根の折り紙教室があります。ご興味のある方どなたでも参加できるので、詳しくは篭屋四丁目11-3 平松毛織株式会社までお問い合わせ下さい。

ノコギリ屋根を見学したら先ほど降りた停留所から再びバスに乗車して次の目的地へ向かいます。篭屋バス停から6つ先の起工高・三岸美術館前で降りてしばし美術館で三岸節子先生の作品や特別展の鑑賞を楽しんで下さい。

さて、ここまで来るとちょっと小腹がすいたのではないかと思います☺
なので次の新栄町までひとつ乗車して降りて、尾西起郵便局の反対側の路地の中にある昔懐かしの駄菓子屋「大野屋」でお好み焼きや焼きそば、おでんを買い食いするのはどうでしょう☺
、、、駄菓子屋って好きですか?気分は子供の頃にタイムスリップしますよね。

そして大野屋さんのさらに奥の方には旧田内織布さんが所有する立派な古民家があります。
ここでは古民家や蔵を活かした様々な展示やイベントが随時行われているのですが、とても立派なお座敷や茶室とか大胆な大きさの灯篭が庭にあって、昭和13年頃の起の街の隆盛ぶりがわかる豪勢さなので機会があったらこちらも是非訪ねてみて下さい。。最新の情報ではちょっと先になりますが、来年の2月11日(祝)にライブとマーケット・展示が開催される予定です。

さてさてバスの旅はさらに続き新栄町バス停から更に先に進みますが、ここからバスに乗る時は注意です。この路線には実質終点がない!のです。一宮駅発起行のバスの終着点は実際は一宮駅に戻る形になっていて、尾張中島バス停からバスの路線は循環バスのように走っています。ですからバスの進行方向は変わりないのに、この辺りから車両の先頭にある行先表示が起から一宮駅行に代わっているので、初めてこのバス路線に乗る人はびっくりするかと思います。私もびっくりした一人です。

更に進んで新栄町から一駅、いよいよルート上一番西にある起停留所に到着です。
停留所の近くに尾西歴史民俗資料館と別館の旧林家住宅があって中を見学できます。
資料館ではかつて街道の要衝であった起の歴史的重要性が学べ、また隣にある旧林家住宅は脇本陣の流れを汲む国登録有形文化財で、江戸時代の伝統的な町屋建築様式を現代に伝えています。(写真)
ここには四季折々の木々がとてもきれいな庭があって和室から眺めて何時間でものんびりゆったり過ごしたくなります。特に新緑や紅葉の時期はインスタ映えすると思いますよ☺

こうして旧林家住宅でまったり過ごした後は起バス停から再び乗車、バスは坂を木曽川の堤防へ向かって登っていきます。

、、、そして登り切った瞬間!!!
視野がいきなり一気に開けて広がる木曽川や養老山脈が一望できます。
これがハッと息をのむ美しさ。バスは視点が高いので周りがよく見えるんですね。
特に夕日が素晴らしいのでその時刻を狙ってバスに乗るのをお勧めします。

バスはこの堤防からループして濃尾大橋の手前で一宮駅の方角へ戻る様に大垣線に入って行きます。

次に降りるのは濃尾大橋口停留所。ここからは湊屋(旧湊屋文右衛門邸)への最寄りの停留所になります。
湊屋は船を使った物流を生業としていた商家の建物だったのですが、明治24年の濃尾地震ではこの辺り、起宿の家屋がほぼ全滅する中で残った数少ない貴重な日本建築です。現在では週に三日ほどカフェとして公開されていますが、玄関を入ってすぐに広い座敷があるなど当時の商いの隆盛ぶりが偲ばれるようです。様々な人々が行き交ったのでしょうね。
このすぐ近くには愛知県指定史跡の起渡船場、つまり起から木曽川を渡る船の乗り場の跡があって、常夜灯が残っています。

さてさて、バスに戻っていよいよ旅は最後の途中下車、みずほ興業前で降車します。
ここから少々歩きますが小信中島公民館・墨会館へ行きましょう。
この墨会館は愛知県下唯一の建築家・丹下健三の設計の建物です。

1957年竣工。こちらも国の指定文化財です。艶金興業株式会社の本社として建築されました。この建物は丹下健三が国立代々木競技場の設計で名をはせる以前の建物で、初期の作品として評価があるようです。
中庭を挟んで事務棟とホールに分かれていますが、このホールが近未来的な特徴のある造りになっているので一見の価値がありです。信じられないくらい素敵なホールなので私としてはもっと活用が進むことを期待したいですね。

以上バスで巡る起街道の旅、駆け足でご紹介しましたがいかがでしょうか?
ちょっと盛り込み過ぎで一日で廻りきらないかもですが、気軽に行けるプチ旅行としておすすめします。

またこの行程なら自転車で廻るのもいいかもしれません。

自転車といえば、3年前の11月に「ツイードラン尾州」というクラシックなツイード生地の服をドレスコードとした自転車のサイクリングイベントがありました。今回ご紹介した起地区を含む尾州織物に関連する場所を巡ったそうです。その時の様子を写真家・末松グニエ文さんが記録した写真展が12月に開かれるのでその情報もお伝えします。

「ツイードラン尾州一宮・犬山写真展」12月21日(金)~23日(日)場所 オリナス一宮 入場無料
本町商店街の中にあるので、ここではさらに手軽に旅気分が味わうことができるのではないでしょうか?☺

今日は身近なバスの旅をご紹介しました。遠くへ旅するのもいいのですが、ご近所にも意外な発見があるかもしれません。思いついたらパッといけるこんな路線バスの旅へ是非お出掛け下さい。

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